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杏美ちゃんに言われるまで私は固まっていた。
「いや、大丈夫よ。話してくれてありがとう」
私はすぐに笑顔になり、お礼を述べた。
「2人共、大人気なかったけど、あの騒動がなかったら、パパとの出会いはなかったってママは言ってたわ」
「何だか昔のトレンディドラマ見たいね」
「それなっ!」
いつの間にか杏美ちゃんに笑顔が戻っていた。
これで失恋を克服したとは断言できないが、元気を取り戻したのは良い傾向だ。
「杏美ちゃんにも見つかるわよ。玲くん以上の良い男が」
「だと言いけど……もう寝るね。おやすみなさい」
杏美ちゃんは眠たそうにしているきなこを見て、自分もベットに横になった。
「おやすみなさい」
私は電気を消して横になった。
だけど、中々、寝付けられなかった。
主任と奥さんの馴れ初め話を聞いてしまったからだ。
余韻に浸ってた訳ではない。
何か引っかかるものがあった。
それが疑惑へと変わり、1つの可能性が見えてきた。
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