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しばらく、2人は皮剥事件で盛り上げた後、氷室社長が先に声を掛けてきた。
「それでご用件はなんですか?」
「実は今回の事件の首謀者を見つけまして、ご報告に来た次第です」
氷室社長は主任の答えに少し困惑していた。
「犯人は確か経理の奥澤さんではなかったでしょうか?」
「よくご存知で」
「私にとって鮫崎さんはこの会社を成長させてくれた大恩人ですからね。鮫崎家とは公私共に仲良くしてもらってました。勿論、奥澤さんもご存知です」
「なるほど。しかし、彼はただのあやつり人形に過ぎません。この事件には裏で糸を引いてる者がいます」
「ほぉ……」
「その者は、とある窃盗団のボスでありながら、自ら前線に出て指揮を執る人でして、更にその人は鮫崎一家に恨みを持ち、自ら殺人を決行した非常に頭の切れる人物です」
「なるほど。それで犯人は誰なんです?」
氷室社長は興味津々で聞いてきた。
主任はお茶を一口だけ飲むと、即座に答えた。
「単刀直入に申し上げます。犯人は氷室さん……あなたです」
とうとう言った。
言い切った。
あとは氷室社長はどうでるか………
私は息を飲んで社長の方を見続けた。
しかし、ここで意外な展開が待ち受けていた。
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