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影原主任の推理に氷室社長は何も言わずに聞いていた。
それを良いことに主任は話を更に続けた。
「あなたと鮫崎氏とは良好な関係を築いていた。勿論、長男の辰也さんともね。しかし、鮫崎氏があなたの裏の顔に気付いてしまった」
「記者会見であなたの上司はグレムリンとかいう謎の窃盗団の存在をちらつかせておりましたね」
「はい。私は今でも奴らの存在を感じ取っております。その首領が………」
影原主任は人差し指を氷室社長に向けて、言い切った。
「あなた」
薄気味悪い空気が部屋中に蔓延した。
ここまで言われてもなお、氷室社長は笑っていた。
「面白い事を仰いますな。エリートの捜査一課の中にも空想好きの刑事さんがいるんですね」
氷室社長は常に笑っていた。
決して語気を強めて否定な態度を取ろうとはせず、ただ平然と主任の推理を聞いていた。
しかし、徐々に彼から感じた。
私はそれを見逃さなかった。
緊張と悪意が………
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