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遂にこの時が来た。
証拠を見せろ。
被疑者がよく言う言葉だが、提示しないと逮捕できないし、主任の推理にも納得してくれない。
だけど、主任が証拠を見つけた素振りがなかった。
果たして主任がどんな言葉を返すのか……
私の眉唾が聞こえる程、飲み込んだ。
「勿論、証拠はありますよ」
影原主任はすぐに返すと、1枚の写真を取り出し、それを見せた。
「これはあなたが宝石の闇ブローカーと会ってる時の写真です」
氷室社長は写真を手に取り、それをまじまじと見つめた。
写真を見た社長の顔は更に険しくなったが、
すぐに鼻で笑った。
「フッ、こんなの……証拠にはなりませんよ」
氷室社長はそう吐き捨てると、机の上に置くように捨てた。
「私が言ってるのは鮫崎さんを私が殺したという証拠ですよ。私がこの男と会ってたでは証拠にはなりませんよ」
険しい表情が徐々に柔らかくなった。
まるで勝ち誇ったかのような笑みだった。
でも影原主任はフフッと微笑ながら、首を横に振った。
「違います。まぁ、話を最後まで聞いてください。この男は一旦、置いときましょう。私が注目した点はここです」
主任は人差し指を写真の上に置いた。
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