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「このビル内に秘密の部屋がある可能性が高い。そこをグレムリンの本拠地にしているのはまず間違いない」
主任はまたもや突拍子のない推理を言い出した。
しかし、そんな推理をするからには何か根拠があるのだと思い、黙って聞いていた。
「氷室社長がパトカーに乗り込む前、俺達が来ない事に疑問を持ったろう」
主任がそう言うと私はついさっきの行動について、思い出していた。
「そういえばそうですね」
パトカーに乗り込む前、氷室社長は私達が乗らない事に首を傾げた。
「乗らないんですか?」
「色々と調べたい事がありますので、その許可が欲しいのですが、よろしいでしょうか?」
主任はそう頼むと、氷室社長は少し困惑そうな顔をしていた。
しかし、最後には首を頷き、許可をもらった。
「あの表情を見る限り、何か隠してるに違いない。そして、娯楽室」
「娯楽室?」
「社長室や仕事場には何も無かった。となれば残すは娯楽室。しかも娯楽室には何があるか尋ねた時、氷室社長は俺に挑戦状を叩きつけるかのように笑っていた」
――チーン……
ドアが開き、27階に到着した。
「この挑戦状………受けて立ってやる」
主任は冷静さを欠かず、小さな声で言ったが、彼から発せられる熱意は尋常ではなかった。
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