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27階の娯楽室には3つの部屋がある。
目の前には卓球場。
その隣にはダーツ。
奥の通路側には自販機と喫煙室があった。
更にその奥の左側には映写室があり、そこが一番大きかった。
影原主任はまず、映写室へと向かった。
行く間に卓球場やダーツの部屋を中には入らず、ドアを開けて少し眺めた後、また歩き出した。
喫煙室を素通りして奥の映写室へと入った。
室内は真っ暗闇で窓はひとつもなく、電気を付けなければ、視界が見通せない状態だった。
主任は電気を付けると、私は部屋の広さに圧倒された。
映写室はこの階で一番の広さを誇っていた。
壁際にはDVDとBlue-rayの棚が右からあいうえお順に綺麗に並んでおり、洋画邦画がジャンル関係なく豊富に取り揃えていた。
更に左側には最新式のプロジェクターで右側には真っ白なスクリーンが設置されていた。
私は映画にはそれ程、興味がなかったので秘密の部屋なるものを探す気でいたが、相棒は違っていた。
主任はDVDの棚をじっくりと品定めしていた。
さっき挑戦状を受けて立つと闘志を燃やしていたのが、目の前のDVDの棚によって一気に鎮火してしまったようだ。
「なに見ようか迷うなぁ……お嬢は何がいい?」
冗談半分に聞こえたが、もう半分は本心だろう。
私は何も言わず、ただ半目を開いたまま、じとーっと主任を見つめていた。
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