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「分かってる。何も言うな」
主任は私にそう言うと再び、棚に視線を戻した。
――やはり、映画が見たいのかな……
私はゆっくり歩き出すと、主任の隣に立った。
すると主任はある見解を私に話してくれた。
「グレムリンは三課が名付けた。普通なら警察が名付けた名前を犯罪者が気に入ることはまず無い。中には気に入って、それを名乗る奴もいるが恐らくグレムリンはその後者だろう」
影原主任は映画のグレムリンのDVDを指さした。
「もしここにグレムリンの本拠地があるならば………このDVDが置いてある筈がない」
少し考え過ぎの気もするが、私はとりあえず聞いてみた。
「では、このDVDを取り出してみたら秘密の部屋に通じるドアが開くと?そう考えてもよろしいのでしょうか?」
「かもな。だが、ブービートラップの可能性もある。だから、無闇に取り出したり、全部、取り出したりしたら、何かのトラップに引っかかるかもしれない」
「ブービートラップって……マンガじゃないんだから……」
私は小さい声で呟くと、主任はすぐに言い返した。
「氷室社長のあの笑みから察するにトラップの存在があってもおかしくない。それに……」
「それに?」
「俺が思うに鮫崎一家殺害を除けば、奴らは遊びで犯罪をしている連中だ。盗みもサイバー犯罪も奴らにとっては全てゲームに等しい。きっと、俺達がトラップにハマってどんな反応するかどこかで見てるだろうよ」
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