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影原主任はただ、映画の棚をじっくりと観察していた。
「スイッチがあるとすればここなのは間違いない。この部屋にはパスワードを入れる電子機器はないからな」
「卓球場やダーツはどうですか?」
「ない。あの二部屋に関しては社長室と同じだ。机と椅子しかなくて秘密の部屋に通じる階段や梯子の様な形跡がなかった」
「階段?」
「このビルは外見は27階しかないが、実際は28階の可能性がある。だとすれば秘密の部屋は上しかないだろ?」
主任はそう結論付けると再び、考え込んでしまった。
「グレムリンではないなら、続編か。いや、それでは簡単すぎる。何か違和感がある筈だ………何か………」
――違和感か………
私も主任と同じ様に棚を見た。
棚には右から洋画と邦画そして、アニメと3つに仕分けされており、その全てがあいうえお順だった。
私はアニメの方から順に見ていく事にした。
しかし、どれもびっしりと飾られていて、違和感なんか何一つも感じられなかった。
邦画も洋画も同様で綺麗に飾られあって、隙間の一つもなかった。
「無理ですね。どこも隙間が無いほど埋まっていて、違和感が感じられませんね」
私は半ば諦めたかのように、ため息を漏らした。
「そうか?だったらこれは何だ?」
主任はある作品を指さした。
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