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「だって、お前、あんなにうどんうどんって……」
「あはは。だって、ジンくんったらムキになっちゃってさ。ちょっと面白かったんだもん」
茜が、笑いながら首をかしげた。
目がいたずらっぽく光っている。
「ごめんね。私のことあきれないで、これからもそばにいてね」
「はあ。……そばだけにな……」
気恥ずかしくなって、僕はコップの水をあおった。
「親父ギャグ。やっぱりジンくん、オッサンだわあー」
ラーメンが運ばれてくる。とんこつしょうゆ。
割り箸をパチンと割って、口に運ぶ。
茜は髪を耳にかけ、「熱い熱い」
と言いながら、嬉しそうにラーメンをすすっている。
その表情を見ているうちに、僕は力が抜けてくる。
まあ、蕎麦もうどんも、どっちもうまいってことでいいかなあ。
ついでにとんこつラーメンも。
僕は今日から、茜とともに日々を過ごす。
アパートに帰ったら、片づけの続きが待っている。
(おしまい)
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