浮世の雲

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「あの辺で座って読も」 少し離れた場所に見えたバス停には屋根が付いていて陽射しが当たらないため地図の解読には最適な場所だ 「さてと、解読解読…」 椅子に腰掛け地図の解読に集中を注ぎ始めた花純だが 駅に向かう人達はチラチラと彼女を見ながら通り過ぎていく 腰までのびた茶色味がかかった艶のある髪 伏し目がちでも分かる長い睫毛に、垂れ目がちな大きな目 透き通るような白い肌に 形のいいぽってりした唇 花純は誰の目からみても美少女と判断されるほど整った容姿をしている しかし如何せん眉間に皺を寄せながら地図を見ているため近寄りがたい 「ん?これって松下…むら塾? …あ、松下村塾か! へぇ~、おばあちゃんの家から近いなぁ。 1回行ってみたかったんだよね。」 バス乗り場で停車する場所を調べると 祖母の家より手前で降りれば行けることがわかった 「世界遺産にも登録されてるし せっかく東京から来たんだから行かなきゃ損でしょ!」 この決断が後に花純の人生を変えることになるとは 本人は露知らず…
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