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花の章①
正樹が扉を開けるといつもの見慣れた顔があった。
「圭司!」
圭司の目は怒っていた。
「お前な、どういうつもりだよ。小野寺さん怒らしちまって。あのあとおれ、土下座して頼んだよ。もう一度チャンスを下さいって。」
「すまん、圭司。すべておれの責任だ。」
正樹は廊下に座り頭を下げた。
「正樹、小野寺さんはもう一度チャンスくれた。一週間後。明日からまた練習に付き合ってくれ、頼む。なぁーおれの頼みだ。」
「圭司、すまん。」
「明日スタジオで待ってるぜ。じゃあな。
」
圭司は扉を閉めて雪の中へ姿を消した。
正樹は即座に部屋へ戻った。
ユキはおとなしくしていたので圭司にはバレなかったようだ。
「友人だったよ。大丈夫だ。」
正樹は圭司に申し訳ない気持ちでいっぱいであったが、ユキにはつらい顔を見せたくなかった。
しかしユキは疲れたのか横になって眠っていた。
‥しかしほんとに不思議な子だな。何か人間離れしてるというか。
とにかく一週間後のラストチャンスにがんばらなきゃ‥
窓の外の雪は相変わらず強く降っていたが、なぜか真ん中に花のようなものが正樹には見えた。
‥なんだろう?幻?それとも夢を見てるのだろうか?‥
正樹はめまいがし出していつの間にか眠りに落ちていた。
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