月の章①

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月の章①

お昼休みに正樹は圭司へすぐ連絡を取った。 「圭司、レコーディングの件で小野寺さんに即連絡を取れないか?」 「何言ってんだ、お前。レコーディングは一週間後だぜ。バックバンドもそのスケジュールで手配してるぜ。」 圭司はぶっきらぼうに返事した。 「圭司、あのさー新しいメンバーが見つかったんだ。」 「何寝言こいてる?どこのどいつだ。お前の知り合いか?」 正樹は落ち着いて答える。 「まあ、そうだな。とにかく明日スタジオへ来てくれないか?」 「明日か。明日はおれはバイト休みだな。よし、お前がマジで言うからには。やってみる価値はありそうだな。」 圭司はどうやら気乗りしそうでないが、明日はなんとかなりそうだ。 「小野寺さんの同行もら頼むよ。明日午後一で待ってるからさ。」 「ああ。」 圭司は、面倒くさそうに答えた。 正樹は携帯を切って、ユキの方に顔を向けた。 「ユキ、圭司が明日来てくれるよ。」 「良かったね。」 ユキの表情はいつもより明るくみえた。 「もう一回、さっきのところから始めようか。」 ‥絶対いける。おれたちは。3人でやれる。 最高のパワートリオさ。‥ ユキのキーボードと正樹のギターは見事に溶け合っていた。 もう何年も一緒にやっているかのように。 「ちょっと一服長すぎたかな。正樹の奴、ちゃんとやってるかな。」 佐々木は煙草をくわえながら、スタジオのドアを開けたとき、聴こえてくる音楽に圧倒された。 ‥すごい。誰の声だ。この天使のような響き‥ 佐々木は思わず尻餅をついた。 2cc9f3b6-a87c-4357-87f5-15a5de70f08b
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