37人が本棚に入れています
本棚に追加
香り
私は、気がついたらそこに立ってました。
そこは、澄んだ空の下、桃色の花が咲き乱れ、その側を川が流れているところでした。
花の甘い香りが、とっても濃いです。
私は、その香りを嗅ぐたび、寂しさが込み上げてくるのを感じました。それで、気がついたら泣いてました。
ポロ、ポロ
大粒の涙がどんどん零れ落ちてくんです。
「どうして、泣いてるんだろう・・・」
風のように、溜息のように、スッ・・・と言葉が出てきました。
そうです。私には分からないんです。
私がどうして泣いてるのか・・・私には分かりませんでした。自分のことなのに・・・
金縛りにあったように体が動かなくて、涙を拭うこともできないんです。ただ、すぅっと涙が頬を伝うんです。
しばらくそのまま立ってました。どうにもできず、涙を流し続けながら・・・
最初のコメントを投稿しよう!