香り

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香り

私は、気がついたらそこに立ってました。 そこは、澄んだ空の下、桃色の花が咲き乱れ、その側を川が流れているところでした。 花の甘い香りが、とっても濃いです。 私は、その香りを嗅ぐたび、寂しさが込み上げてくるのを感じました。それで、気がついたら泣いてました。 ポロ、ポロ 大粒の涙がどんどん零れ落ちてくんです。 「どうして、泣いてるんだろう・・・」 風のように、溜息のように、スッ・・・と言葉が出てきました。 そうです。私には分からないんです。 私がどうして泣いてるのか・・・私には分かりませんでした。自分のことなのに・・・ 金縛りにあったように体が動かなくて、涙を拭うこともできないんです。ただ、すぅっと涙が頬を伝うんです。 しばらくそのまま立ってました。どうにもできず、涙を流し続けながら・・・
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