あなたが欲しい

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2か月後。 弘子は目標体重を達成した。 ママ友である優美の旦那が私の身体をなめるように見ている。 弘子は女とみられていることにママ友の優美に優越感を感じていた。 「優美、この人は……」 優美の旦那が優美に聞く。 優美の旦那は痩せすぎくらいの、モデル体型の女性が好きと聞いている。優美が少し体重が増えると、ジムに通わせ、食事制限を命じるくらいらしい。 優美が愚痴るときは旦那による体重制限の場合が多い。金持ちの旦那を捕まえるのも、良し悪しだ。 「俺色に染まれが強いんだもの。やんなるわ」 優美はよくぼやく。 スカートしか履くな。あそこの奥さんが着ているような、ブランドの服を着ろ。痩せろ。化粧をしろ。 自分好みの女でいろと支配する優美の旦那に対し、自分の旦那ではないけれど、弘子は辟易としていたが、きょうは気分がいい。 性欲に支配されたその顔。優美の旦那の、女を漁る、その顔をみて、弘子は気持ちがよくなった。 ああ、勝った。 よくわからないけれど……すべてに勝利したと感じた。 「ほら、私の友達の弘子よ。忘れちゃったの?」 優美があわてて説明する。 「え? あの、弘子さん?」 優美の旦那は私のつま先からてっぺんまでじっと見た。 「はい。やだなあ。忘れちゃったんですか?」 弘子はにやりと笑った。 優美の旦那は焦ったように 「いやあ、なんか……ずいぶん、雰囲気が変わったように思えるんだけど」 「え? そうですか?」 弘子はシレッと答えた。 「弘子、最近痩せたからかな……」 優美は弘子に羨望の視線を送る。 いいね、女性からの視線も。 やっぱりモデルとか女優って、見られることできれいになるってほんとうだったんだ。 弘子はうっすらとほほ笑んだ。 「いやあ、俺、びっくりしちゃった」 優美の旦那が笑う。 お前のために綺麗になったんじゃないけどね。 弘子は腹のうちで思った。
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