ともすればナカユビは嘘を生む

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 (じき)に夜があける。火をつけたものの、ほとんど吸わずに終わった煙草は、灰皿の上で白い灰になっていた。寝不足で重たい目を擦った後で、まだ薄暗い空と同じ色をした窓ガラスに映る自分を見た。そこにいるのは、疲れた顔をした俺だったが、迷いの隠せない瞳が藪から顔をのぞかせた臆病な動物のようだった。  手のひら全体で顔を覆う。  考えても考えても答えは同じだ。  どうして、普通に友達じゃなくなっちまったんだろう。  どうして、好きに要らないものがくっついた。  こうしてる今も、貴虎、お前を抱き潰したい。誰にも渡したくない。  指の隙間から外を見れば、昇る朝陽が目を焼いた。まるで、これから俺が選ぶ道が、罪だと警告しているようだ。誰もが止める凶行を、俺はこれから自分の意思で選択する。  足音を忍ばせてベッドに戻ると、貴虎の上から伸し掛かる。肩口を押さえつけて首筋に噛み付くようにキスをする。くぐもったような貴虎の声がしたから、目が覚めたのかな。口の端を引き上げて笑う俺を見たら貴虎はどう思うのか。  頭の中が真っ白で、うまく言葉にならない。体が熱を吐き出したがる。 「……貴虎、ちょっと舌出せよ」  しゃがれた声で誘う声が、自分じゃないみたいだった。言われるままに出された舌先を、俺は口の中に引き込んだ。
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