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「史哉は本当にいいの? 私なんかで」
「なんかって言うなよ。俺はお前がいい。もう、あの時みたいな後悔はしたくない。俺たちは遠回りしすぎだ」
「うん、そうだね」
静香が手を握り返すと、隣を歩く幸太が太陽のような笑みを浮かべて溌剌と叫んだ。
「ねぇっ! いつ四人になるの? 僕に弟か妹ができるってこと? ねぇねぇ、いつっ?」
「いや……え、と、それは……」
まったくもうと史哉を睨むが、彼は悪びれなく「そのうちな」などと言っている。
史哉と歩む未来も、きっと幸せに包まれているだろう。
「お風呂、先にごめんね……あ、幸太寝かしつけてくれたの?」
静香がリビングへ行くと、本を手にした史哉が寝室から出てくるところだった。
「ああ、ちょっと早いけどな。昨夜遅かったからぐっすりだ」
「もう幸太とっくに一人で寝られるのに、史哉に甘えてるのね」
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