第十五章

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 指で慣らしたとはいえ、ずいぶんと久しぶりに男を受け入れるそこは狭く、圧迫感がひどかった。ほかの男と比べたことがないからわからないが、史哉のものが大きいのかもしれない。  以前に抱かれた時と同じように、深く挿れられると身体の中心が貫かれるような感覚がして、少しだけ怖い。 「痛いか……?」  労わるように汗ばんだ額を拭われる。痛みはないが、八年間男を受け入れていなかった秘所は、ギチギチと史哉のものを締めつけた。 「あの日以来……してないから……苦しいだけ」 「あの日以来って……まさか」  史哉の顔がそんなはずないだろうと、驚いたように見開かれる。ああ、彼は静香と圭に身体の関係があったはずだと思っているのだ。静香は首を横に振って答えた。 「圭とはなにもなかったの……待ってるって言ってくれたから。結局、二年……なにも」  あのバーでキスされたのが最後だ。圭は強引に抱きしめてくることさえなかった。それほどに静香の気持ちを大事にしてくれていた。 「そうか。なんか俺……一生、圭に敵う気がしねぇよ」 「それでも……ずっと私を忘れないでいてくれた」
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