私はあいつを絶対に好きにならない

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 私が勤めているのは、オーク株式会社。ジュエリー・オークという老舗の貴金属店を全国に展開する、貴金属取り扱い量としては日本シェアナンバーワンの会社だ。創業は大正時代にまで遡る。  その広報部に勤める私に、先日課長から指示があった。来年、創業100周年を迎えるにあたり、広報の目玉となる企画を考えろ…と。そんなの、本来私の仕事じゃない。私の仕事は、上がってきた企画をどう宣伝するかなのに。  しかも、先月まで営業部の隣に部署を構えていた広報部が、営業部の規模が大きくなったために、一つ上の総務・経理などがいる管理部門のフロアに引越しを余儀なくされた。結果、私が最も苦手な柏崎のいる経営企画部と隣り合わせとなったのである。  100周年の企画は、社内コンペで決定される。私だけでなく、経企の柏崎もコンペで発表するメンバーの1人だ。引っ越してから、柏崎がやたら私に構うのは、私の企画を盗もうとしてるのか?とも思ったけれど、よくよく考えてみれば、私には盗まれて困る企画すらまだない。 はぁ…… これはきっと、ただの女好きだな。 私はそう結論付けて、無視をすることにした。  新企画を考えるよう指示を受けたけれど、本来の仕事がなくなるわけじゃない。今もテレビコマーシャルは流れてるし、雑誌に広告も載っている。その様々な仕事をこなしながら、新しい企画を考えるのは容易ではなかった。  100周年……人の興味や注目を集める事ができて、なおかつ売り上げに貢献できる企画。私はそんなことを考えながら、企画を練る。
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