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「言葉の意味をまだ知らない。」
夢の中に現れた男はそう言った。
俺の名はイベルタ。師匠に言われ、剣士として武者修行として世界各国を旅している。剣士や槍遣い、そして東洋では刀という武器を使う武士とも剣を交えた。しかし俺はこの旅の目的はある事を知る為だった。
それは夢に現れた男が関係していた。その男が言っていた『言葉の意味をまだ知らない』。言葉とはどの言葉の意味なのか、そしてその男が一体誰なのかを探しながら旅をしている。
しかしその男が本当に存在する人物なのかもわからない。そんな事を考えながら俺は大衆食堂で肉に齧り付いていた。じゅわーっと流れる肉汁が口の中で行き渡る。お昼時と言う事もあって至る所々で店員が相席をお願いしている声が聞こえる。俺はモグモグと頬張りながら食べていると、俺の真横に店員がやってくる。
「お食事中すみません」
話しかけられた事に顔をそちらに向けると、ごくりと食べていた物を飲み込んで対応する。
「何だ?」
「申し訳ないのですが、相席をお願いしてもよろしいですか?」
「ああ、構わない」
俺の言葉に店員は礼を言うと相席する相手を呼びに向かって行った。俺はまた肉に齧りつきながら相席になる相手を待っていると、俺の前に誰かが来る。俺は顔を上げて東洋で言う名の会釈をしようとすると、その顔を見た瞬間に固まった。
「……その様子だと気付いたようだね」
そう、俺はその顔に覚えがあった。噛んでいた物を飲み込み、俺はこう言った。
「ようやく見つけた」
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