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わたしはいつも、夜の学校の屋上で歌を歌う。
フワフワ宙に舞うように。高く飛び跳ねながら。
大声は出せないから、静かな曲を歌う。
すやすや、すやすや。どうして人間は動いたまま、歌ったまま眠れないのだろうか。この幸せを噛みしめながら眠りたいものである。
周りは住宅地だ。今は深夜2時なので、家の電気はほとんどついていない。そんな時の夜はいい。星がチラチラと輝く。夜に囲まれながら歌う、なんていいことなのだろう。
ふと目を住宅地の方へ向けると、おそらくわたしの歌を聴いている人とカーテン越しに目があった。気がした。
あの人はわたしが歌を歌う時には必ず聴いてくれる。最初は恥ずかしかったが、今では逆に嬉しいくらいだ。
1時間ほど歌っただろうか。流石に疲れたので、家に帰ることにした。
「ただいま」
そう言ってもおかえりと帰ってこない部屋へ。
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