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入学式が始まった。わたしには関係のないことだ。
それ以上に重要なのは、いつもわたしの歌を聴いてくれるあの子を探すことだった。
わたしの歌をどう思いながら聴いてくれているのだろう。どう感じてくれているのだろう。ただ興奮を覚えた。
今にも歌い出したくなったが、やめた。人間社会でそんなことする奴なんてただのヤバいやつ認定されてしまう。それだけは避けたかった。
そして、あの子らしき姿を発見した。同じクラスだったことがまずわかった。身長は平均的なサイズで、髪はボサボサ、けれどそんな姿に似合わず体格は良い方である。出席番号がちょうどわたしの前だから見つけることができた。なんとなく神に感謝しておいた。
いつも夜に来ている教室に入ると、私たちのクラスの担任がやってきた。どうでもよかった。
いろいろ行事が終わり、来たる下校の日。わたしは話しかけた。
「君ってさ、いつもわたしの歌聴いてる人だよね?」
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