RE:I AM

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「君ってさ、いつもわたしの歌聴いてる人だよね?」  やはり聞かれるとは思っていた。入学式の間、何故か視線を感じると思っていたがまさか一緒のクラスになるとは。もちろんなったこと自体は嬉しいが、本当になるとは思っていなかった。なんせ、10クラスもあるのだから。  聞かれたならば答えなければいけない。僕に黙秘権はない。あったとしても認めてくれないだろう。 「そう、だよ」  僕は引かれると思っていた。初めましての人がストーカーだったようなものである。普通に気持ち悪い。気色悪い。そう思われるのが普通である。でも彼女は違った。喜んでいたのだ。「ありがとう聴いててくれて」なんて返事も返してきた。それから彼女は、 「わたしのうたってどうかな?」 「聴いてみてどう感じた?」  などと聴いてくるからいつもの思いを素直にぶつけてやると、彼女は漫画見たく手で顔を隠して恥ずかしさを表現した。とりあえず彼女の弱点を、一つ知ることができた。  僕はこの人が尚更好きになった。
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