混血児の守護者

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 生まれた時から私は呪われていた。  西の塔の守護する一族は悪魔との契約を生まれる前からするという習わしがあった。しかし私はその契約をする必要がなかった。私は人間と契約していた悪魔との子。混血児としてこの世に生を受けた。そして名前を付けたら『カタラ』と。 「(どうしてこんな名前をつけたのかしら……)」  私も無事に成人し、西の塔の守護者として任務に就いている。しかしこの名前のせいで辛い幼少期を過ごした事は記憶に残っている。『カタラ』と言う名前はギリシャ語で呪い……そう、呪いが名前なのだ。この名前を付けたのは悪魔である父親・テュポンだった。母親は特に反対をしなかったらしいが。 「(できれば反対してほしかった)」  それが内心だ。何が悲しくて呪いなんて名前を付けられなければならないのかと何度も悩んだ。しかしそれを離せば父親が悲しそうな顔をするので途中から言わなくなった。そして今に至る。 「(まぁ、父親が悪魔のおかげで私は契約なしで悪魔の使う術がある程度使えるのは感謝している)」  それ以外ないのだ。そんな事を考えていると、私の数メートル先に誰かが近付いてくるのが見える。その人はこの塔に害を及ぼす人なのかそれを私は悪魔の目で見つめるのであった。
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