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お兄さんに急かされて、思わず車に乗ってしまった。いいのだろうか。食事なんて……
「安奈から昨日、楓ちゃんの事を聞いたんだ。だから、店の前で待っていた 」
「あのーー 何で!? 」
訳がわからない。お兄さんと会うのも久しぶりのはずだ。
お兄さんは笑いながら、
「独身同士、仲良くしてくれない? 」
私は、急に親近感がわいてきた。
「お兄さんも独身ですか? 」
「仕事が忙しくて、中々出会いがないんだよ。だからたまに、安奈の店に仕事ついでに寄ってるんだ 」
なるほど、そう言う事か。出会いがないお兄さんの仕事はなんだろう。後で聞いてみようか。安奈ちゃんと久しぶりに会い兄弟がいることさえ忘れていた。いきなりの食事だと思わないでもないが、どの道金欠バイトだったのだから、夜のお店で知らない人と話すより、まだ旧知の仲の人の方が気持ちも楽で良いかもしれない。
お兄さんとは、車の中でも昔話で話が弾んだ。イタリアンのお店で食事を御馳走になった時もお兄さんの話しは楽しかった。時間はあっという間に過ぎて行った。男の人と一緒に、こんなに楽しく過ごせたのは、かなり久しぶりだ。その分、家に帰ると寂しくなるだろうな……
お兄さんに家まで送ってもらい、棚ぼたのラッキーだったと心から喜んでい時、当の安奈ちゃんからメールが来た。
「なになに……?」
メールを読んで驚いた。
お兄さんが私と付き合いたいと言う。
「まっ、まさか……!?」
安奈ちゃんはお兄さんに、私と会うと話すと興味をもってくれたらしい!?
金欠、寂しがりやの私の事を心配した梓がその話に乗ったと……
私がベビー二人をあやしている間に、3人で話を合わせていたと言う!!
「知らなかった…… 」
梓に電話すると、
「お姉ちゃん、私達の話を全然聞いてなかったじゃない。だから、嵌めました 」
「はぁ!? 」
やられた……
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