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「所で弥生ちゃんは?」
「車の中で、真菜の食事の時間 」
あぁ、母乳ね。川原君の視線を追うと車がわかった。車の後ろの席から弥生ちゃんがこっちを見ている。何か視線が怖い気が……?
それなのに、いきなり川原君が私の手を取って、
「秋元、頼む。弥生の話聞いてやってくれよ 」
へ?何するの急に。弥生ちゃんが見てる、怖い怖いって。
私は焦って、
「ちょっと、何かあったの?」
「うん、まぁあったというか…… 」
川原君の煮え切らない態度に私は、さりげなく手をほどいた。先ほど、100ローの中で弥生ちゃんが微妙な表情をした意味がわかった気がする。
「あんた、まさか浮気でもしたんじゃ……? 」
「あ、秋元、これには深い訳が…… 」
川原君は、ズバリ言い当てられたからか、動揺を隠せない。
深い訳ね…… 私は、溜め息をついて、腰に手をあてた。はぁ、全く。
気を取り直して、
「わかった」
私はバッグからスマホを取り出し、もらったメモの番号をスマホに登録した後、通話を押した。弥生ちゃんを見ると携帯を取り出し確認したので、通話を切った。
「私、仕事してるから、休み確認して連絡するね。それに多分、話を聞くしかできないと思うけど 」
「助かる。頼んだよ 」
川原君は、少し安心したように、笑顔で車に戻って行った。
ちょっと見ていると、車に乗るときも二人は確かにギスギスしているような……
久しぶりに会った同級生のトラブルか…… うーん、面倒。私、独身だよ。
車が出て行く時、弥生ちゃんがこっちを見たので私は笑顔で手を振った。
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