お金が足りない

5/6
前へ
/12ページ
次へ
「所で弥生ちゃんは?」 「車の中で、真菜の食事の時間 」 あぁ、母乳ね。川原君の視線を追うと車がわかった。車の後ろの席から弥生ちゃんがこっちを見ている。何か視線が怖い気が……? それなのに、いきなり川原君が私の手を取って、 「秋元、頼む。弥生の話聞いてやってくれよ 」 へ?何するの急に。弥生ちゃんが見てる、怖い怖いって。 私は焦って、 「ちょっと、何かあったの?」 「うん、まぁあったというか…… 」 川原君の煮え切らない態度に私は、さりげなく手をほどいた。先ほど、100ローの中で弥生ちゃんが微妙な表情をした意味がわかった気がする。 「あんた、まさか浮気でもしたんじゃ……? 」 「あ、秋元、これには深い訳が…… 」 川原君は、ズバリ言い当てられたからか、動揺を隠せない。 深い訳ね…… 私は、溜め息をついて、腰に手をあてた。はぁ、全く。 気を取り直して、 「わかった」  私はバッグからスマホを取り出し、もらったメモの番号をスマホに登録した後、通話を押した。弥生ちゃんを見ると携帯を取り出し確認したので、通話を切った。 「私、仕事してるから、休み確認して連絡するね。それに多分、話を聞くしかできないと思うけど 」 「助かる。頼んだよ 」 川原君は、少し安心したように、笑顔で車に戻って行った。 ちょっと見ていると、車に乗るときも二人は確かにギスギスしているような…… 久しぶりに会った同級生のトラブルか…… うーん、面倒。私、独身だよ。 車が出て行く時、弥生ちゃんがこっちを見たので私は笑顔で手を振った。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加