花の散るとき

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「ねぇ、さっき女子に教えてもらった花言葉を使ってクイズしない?」 「はぁ?覚えてねーし。それより早く帰ろうぜ」 いきなり変なことを思い付いたこいつと俺は高校からの付き合いだ。 俺達は今高三。 もうすぐ卒業の今、付き合いもそのまま三年程になる。 最初からこいつは変わっていた。 こいつは初めて会った俺へ『ポピー』を一輪差し出してきたのだ。 ご丁寧に括りつけられていたカードには『恋の予感』とだけ書かれていた。 つまりこいつは俺の事が好きらしい。 ことあるごとに口説かれてはいるがそこまで強引でもなく、最初こそ避けていたが今となっては普通に友達として過ごしていた。 「覚えてなくても出来るけど、少しくらいはわかるだろ?花屋の息子さん」 「俺は仕方なく手伝ってるだけで花には興味ないって言ってるだろ」 「似合ってるのに」 「はぁ……もうやってやるから早く出せよ」 俺は仕方なく自分の席の机へと腰掛けた。 目の前のやつは嬉しそうにニコニコしている。 流石、イケメンの笑顔は眩しさが違うな。 こいつは学内でもかなり人気の高い部類の男だ。 さっきも女子達は一緒に帰りたくてこいつの所に来ていたというのに、いつもの調子でそれをきっぱりと断っていた。 俺と帰りたいからと。 そんな俺には当然女子からの冷たい視線が向けられるわけで……辛い。 目の敵にされる俺はモテるハズもなく高校に来てからというもの彼女が出来ることすらなかった。 中学ではそれなりにモテてきてたはずなのに本物のイケメンの前では雰囲気イケメンの俺は霞んでしまうらしい。 「それじゃあ…A君はB君に四つ葉のクローバーを、B君はC君にヒマワリを、C君はD君にリンドウを、D君はA君にパンジーをそれぞれ贈りました。さて、次のうち付き合うのは誰と誰でしょうか?」 「どんな問題だよ。そもそも何で男と男の話なんだ?」 「まぁ、良いじゃない。細かいことは」 良いのかどうかは置いといてさっさと終わらせて帰りたかった。
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