貧民

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(親孝行しなくちゃ)  と、夜、布団の中でおれは思った。  明日、晴美のことをふたりに話そう。晴美が安定期に入ったら、一度こっちへつれてきたい。子供が生まれたら、写真を送って……。  そんなことを考えているうちに、すでに親孝行したような気分になってきた。  おれは満ち足りた気分で眠りについた。  そして、翌朝――。  親父もおふくろも、もう起きてはこなかった。  体内の安楽死装置を発動して、眠ったまま死んでいた。  昨夜おれが受け取ったお金が、親父たちの最後のお金だった。                              〈了〉
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