Hans mein Igel 【私のハリネズミハンス】

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Hans mein Igel 【私のハリネズミハンス】

09dbebcd-34c5-415e-9483-83eb13541e71  前足で髭をかきながら植木鉢に芍薬の咲く店のDer Hof(壺庭的空間な裏小広場)には、私、猫のラ二イが唯一匹だなあと、いくぶんの孤独感を噛みしめて午後の散歩に行くべきか悩んでいたら、植木鉢の芍薬の根本からゴソゴソと無遠慮な音を立てながら、おやおや、これは、これは、Ein Igel(一匹のハリネズミ)が這い出してきましたよ。  春から秋にかけては野良のハリネズミと庭で遭遇することが、多いものではあるんですが、基本的にハリネズミ達は夜行性なのでこんな昼間に出会うなんて珍しいことなんです。 ハリネズミは私を見かけると話しかけてきましたよ。 “Moje, Fraa Mienz. Ei guude, wie?” (おはようでがんす。猫おばはん。あんたぁは元気かのぉう?) 「ちょっと!私の名前はラニイ。猫おばはん、なんてひどい呼び方しないでちょうだい!」 「わるかったぁのぉ、ラニイ。わしの名前はHans (ハンス)じゃ」 「ハンス… Hans mein Igel(私のハリネズミハンス)(*35)ってことかしら?とっても、ハリネズミらしい名前ね。だけど、eigentlich(そもそも)、どうしてこんな眩しい太陽の下に、あんたはいるのかしら?こんな昼間からハリネズミが、しかも石畳の Der Hof(壺庭的空間な裏小広場)に、いるなんて奇妙だわね。人間にでも見つかったら、どうするつもりだったのさ?」 「Stimmt(そおじゃあ).   わしはのぉ、いっつもみたぁに、おひさんが沈んだら楽しゅう走り回って、おひさんが昇り出したらのぅ、お城の庭の生垣の下で、ぐっすり眠るつもりじゃったんじゃ、でもなんともいなげなことにのぉ、なんやら今日はお城が大騒ぎしょうるんよぉ…、あんた知っとりさるんかいのぅ?Kaiser Adolf(アドルフ皇帝)am Main(アムマイン)Der Reichstag(帝国議会) を、招集したんじゃが」 「そうねぇ、私もそのニュースなら、今朝方の新聞で見たような気がするわ  たしか緊急にDie Bielefeldver(ビーレフェルト)schwörung(の陰謀)についての全体協議が必要になったとかで、突然来週から1カ月間に渡って開催されることになったのよね。ここの城主様Graf Johannes(ヨハネス伯爵)は、今年の議長を務められていたんだっけ?そりゃあまあ、議会開催の準備だけでも大変よね」 「そりゃ、決まっとろぉがぁ。それにのぉ、アドルフ皇帝とヨハネス伯爵は同じ家系じゃし、この土地は皇帝陛下とも縁が深いけぇのぉ。今回の事も、ほいじゃから、じゃけえのぉ…って、なぁ…ああ…これは、まだ秘密なんじゃけどのぉ。Fraa Mienz(猫おばはん)どうやら、今回の帝国議会が終わりんさったら陛下は側近数人だけ連れてヨハネス伯爵を訪ねさって、この町へ来られるおつもりらしいんじゃわ。なんでも皇帝陛下の御心が郷愁にかられたとかなんとか、やにこいこと言いだしたらしいわ。でも、そのせいでDie Fürstin(領主夫人)が、朝からほんまに玉取りょおる猫みたいに、騒ぎ腐っとんよね。全くこっちにしてみりゃあ、たいぎいいやぁ、ありゃせんわぁのう」 「まあ、アドルフ皇帝の気まぐれな性格は昔から有名だから…でも、そうするといくら少人数の御一行とはいえ警備とかで折角、静かなこの町がなんだか煩くなるのかしら…Fürstin Elisabeth(領主夫人エリザベト)も陛下の気まぐれに振り回されて、なんだかお気の毒だわねぇ」 「ああ、じゃけぇ、今朝はお日さんの出る前から今のいままで帝国議会へ出発する伯爵の車の列が、つらのおてエンジンの音がうるさいわぁ、ほいでもって自慢の城の庭の手入れが、どうじゃあこうじゃあと大騒ぎする庭師達と城主夫人にその御付き達じゃの、おどりゃあ、そどりゃあ言うくらぁに、うるさぁゆうたら、ありゃあせんのよ。つまりのぉ大問題なんは、そのおかげでハリネズミが、お城の庭の生垣の下で、ゆっくり眠れる状況じゃあ、全くのうなってしもうとるって、いうことなんよ。まあ、そうしょうてから城外の林を目掛けて逃げてきたつもり、だったんだじゃけど、なんか迷うてしもうてのぉ。どうやら、わしゃあ、間違ごぉて市街地の方へ来て、しもうとるみたいじゃのぅ」 「ふーん、とんだとばっちりだったねぇ。ハンス!まあ、これから私は外へ午後の散歩に出かけるから、よかったら少しの間この植木鉢の中で眠るといいよ 幸いこの時間帯はDer Hof(壺庭的空間な裏小広場)の中を、人があんまり通らないんだ。あんたが小さく丸まくなって、その大きな植木鉢の中の芍薬の茂みの下に、おとなしくしていたら人間には見つからないと思うよ。暗くなったら迷子にならないように私がまたお城の生垣まで、あんたを送ってあげるからさ」 「ああ、夜行性のわしには流石に昼間の太陽はきつ過ぎるけんねぇ。ちいとぉ一眠り、させてもらうことに、するけんのぉ。Danke sehr,(あんがとさんよぉ、) Fraa Mienz!(猫おばはん)」  そういうと、ハリネズミハンスは眠そうに眼をパシパシとさせながら、甘い芍薬の香りのする我が家の大きな植木鉢の中へと這い入っていきます。  さて、それから私は睡眠不足の解消に植木鉢の中に入っていったハンスを起こさないように店の真横にある小さな路地から、のっそりとコンディトライのお店の横を通過して広場に面したKellner- Str. (給仕通り)へと出ていきました。 fde634ec-b826-413a-87c9-bdf0efa6cbb9写真は私物(無断転載は禁止) :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ハリネズミのハンスはヘッセン弁でしゃべっております。 Die Bielefeldverschwörung(ビーレフェルトの陰謀) ビーレフェルトの陰謀とは何か?下の参考文献及び引用で明らかに…。 参考URL(最初を*にしています。) ****://de.wikipedia.org/wiki/Bielefeld-Verschw%C3%B6rung ****://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%93%E3%83%BC%E3%83%AC%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%AB%E3%83%88%E3%81%AE%E9%99%B0%E8%AC%80 (2019・3・2現在) 参考引用文献 (一) Brueder Grimm Kinder-und Hausmaerchen Band 1, (甲) Band 2, (乙) Band 3, (丙) Alle Rechte vorbehalten C:1980,2001 Plilipp Reclam jun GmbH&Co,Stuttgart Einbandgsestaltung:Birgit Lukowski,Berlin Satz:Reclam,Ditzingen Druck und Buchbinderische Verrabeitung:Ebner&Spiegel,Ulm Printen in Germany 2007 Reclam ist eine eingetragene Marke Der Philipp Reclam jin GmbH&Co. Stuttgart Band 1-3 in Kassette:ISBN 978-3-15-030024-4 (*35)参考引用文献(一)(乙)P118より引用。訳は作者。
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