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軍議が終わったその三日後の事だった。
ヤーケン城の外には二万の王都軍が陣を張っていた。
――遂に来たわね。
早朝から私は城の城壁の屋上に登った。
城壁の歩廊を歩きながら、今にも迫り来るであろう王都軍の数を眺めていた。
「いい眺めだ」
心の声から、永白山の主が声を掛けてきた。
「起きてたの?」
「朝起きるのは当然だろ」
「……確かに………あの軍勢どう見る?」
「ものの数秒で決着がつく」
当然の答えに私は笑った。
「そうよね」
「でもしないんだろ?」
「そうよ。約束は守らなきゃ」
「何だか遠回しになってやしないか?」
ドラゴンは半ば不服気味で言った。
「仕方ないでしょ。お楽しみは最後に取っておくものよ」
「まぁいい。出番が来たら教えてくれ。俺は二度寝するから」
ドラゴンはそう言うと話を切った。
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