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私は止めるまで咆哮を鳴り続けた。
果たしてこれが勝つ為の策になるのか。
ベルーサ公は煙と轟音でドラゴンの演出をして見せた。
正直、竜に変身すれば良いだけの話になるのだが、それをベルーサ公は許さなかった。
しばらく雄叫びを浴びせ、終わりの合図が出ると、私は煙の外に出てみた。
すると思いがけない物を目撃した。
遠くに布陣していた王都兵が瞬く間に逃散して行っているのだ。
後方にいた兵達は姿を見せない何かに怯えていた。
今まで聞いた事のないような音と、それにより前方の兵達は全滅。
仕上げに竜の咆哮で恐怖は頂点に達した。
「姿形は見せずとも火と煙。そして聞いた事のないような声。これだけで竜の演出は充分だ」
ベルーサ公の読みは当たった。
しかし、これで終わった訳では無い。
前方にいる敵も竜の咆哮で戦意を失っていた。
「我に続けぇ!!」
ヤーケン城の城門が開き、サー・ガーラント率いる突撃部隊が討って出た。
近くにいた王都軍は壊滅。
兵達は瞬く間に退却して行った。
初日は我らの勝利に終わった。
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