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ロレント公の居城、巨鯨城のすぐ近くに大きな街がある。
そこに『麗しの薔薇』と呼ばれる娼館があった。
そこに今夜の標的であるジャガの一族の長、ハーネスがやって来る。
私達は客を装い、ミルルのいる部屋へと入っていった。
娼館への道すがら、エッジスは言った。
「部屋は差程に大きくない。ベッドとクローゼットがあるのみだ。大勢で隠れたら、殺気ですぐに気付かれてしまう」
部屋に入ったが確かにエッジスの言う通りだ。
部屋は一人用の広さで、あるのはクローゼットとベッドのみであった。
そこで私達は三方に分かれることにした。
クローゼットには私が入り、ベッドの下にはエッジスが。
残りは両脇の部屋に待機となった。
尚、既にエッジスが宿の主に大金を支払ってたおいたので、部屋は貸切状態となっている。
もしも、私とエッジスでハーネスに手こずった場合、彼らがベランダのバルコニーから侵入する手筈となっている。
準備が整い、後は標的が来るのを待つだけだ。
そして待つこと30分後………
ミルルが一人の老人を腕を組みながら部屋に入ってきた。
クローゼットの隙間から私は老人をそっと覗いて見た。
頭は白髪で覆われていたが、顔やが体格は衰えてはいなかった。
老人というよりは中年の男性に近い。
そして、どこかあの男の面影を感じた。
一度、戦ったジャガのジェームズに……
あれが“ジャガの一族”の長、ハーネスの姿であった。
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