星の子

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空を歩く、何もない道を踏みしめるように あたりを見渡す……ぼくは、何もない空で動きを止めた なんだろう ーーここがぼくの居場所……って感じがする みんなの姿は遠く離れている ひとりぼっちの世界 だけど、周りから聞こえてくる声だけは耳元で話しているように聞こえていた 「知っていたー?下で暮らしている人間は、私たちに名前をつけてくれているんだって!」 「知らない!」 「なにそれ〜」 「私たちを見分けるために、つけたんだって!でも、私はないの。輝き星のお兄ちゃん、お姉ちゃんしかついていないんだって」 「ええ〜ずるい」 「ならもっともっと、光を集めないと!」 弱い光は散らばっていて、お兄ちゃんお姉ちゃんは暗い空に光を映す ぼくはちょうど、連れてきてくれたお兄ちゃんの近くにいたから、聞いたんだ 「お兄ちゃんは、名前あるの?」 「ーーあるよ。僕はね、アルシャイン」 「あるしゃいん」 「そう。かっこいいよね。僕もはじめは名前がなかったんだけれど……見える?東に輝く星」 そこには、ぼくなんて近づいたら消えてしまいそうな、とても強い輝きを持つ子がいた 「あれはアルタイルだよ。僕よりも目立ちたがり屋なんだ」 「そう…なんだ」 どこかで聞いたことのある名前 だけれどもぼくは、それを思い出すことはなかった 『みんなとてもいい子……大丈夫、あなた達はいっとう美しく輝けるの。 今日はあなた達が主役の…最後の夜なのだから。無理にとはいわないから、いきたい人だけ、いきなさいね』 お母さまの言葉を合図に、小さい光しかなかった子の光が強くなる 眩しくて、暖かくて…そして 「いってきまぁーす!みんな、バイバイ!」 足場を失ったみたいに、地上へと落ちたの
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