ep6

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ep6

由良さんにメールをした5日後の夕方、俺は由良さんと会うことになった。場所は俺の家から二駅先の、駅近にある喫茶店だ。 背中の跡は綺麗に治ったし、そのことを由良さんにも伝えてある。治ったらプレイしてくれる、と言う言葉を思い出し、期待しすぎないように、と思うけれど、やはり期待をしてしまう。 コーヒー一杯600円台と学生には少し敷居が高く、俺は一度も入ったことがない。 家にいてもそわそわして落ち着かず、早く来過ぎてしまった。時計に目をやるとまだ約束時間まで30分もある。 …由良さん、本当に来るのかな?実は全部夢だったり…もしや今も夢だったり… 考えても不安になるだけなので、周りの風景を見渡す。 人に溢れた交差点、雑多に立ち並ぶビル、汚い路地裏に路上ライブの音。見慣れた光景であるはずなのに、全てが初めて見たもののように輝いているから不思議だ。早く会いたい。でもやっぱり夢かもしれない。 …と、ぼうっとしていたら、いきなり手に冷たい感覚が走った。 「…わわ、ごめんなさい!!」 「やだー何やってるの、ちか!」 声の方を振り向くと、大学生らしい風貌の女性が2人立っていた。2人とも手に飲み物を持っており、片方の飲み物は蓋が外れ、ポタポタと中身が溢れている。 そしてその中身が、俺のシャツの袖から掌にかけてにかかっていた。 「あっ、袖に汚れが…っ!あの、弁償します!!どこのブランドですか?」 とても慌てた様子で、溢した方の女性が言う。 「漂白かければ落ちるので気にしないでください。」 手と袖をハンカチで拭いながら言うと、彼女は大きく首を横に振った。 「そんなのだめです!…あ、ラ◯フロー◯ンですね?この近くにありますよね。ちょっとだけ付き合ってください!」 「でも… 」 他の店に行っているうちに待ち合わせ時間になっても困るし、そもそも本当に洗濯すれば落ちる程度の汚れだ。さらに最悪落ちなかったとしてもそこまで目立たない。 「いいからあー!」 今度はもう一方の子が俺の腕を掴み、半ば無理やりという形で百貨店の方へと引っ張った。結構力があることに驚く。もちろん女子の手を振り解くことなどできないし、これ以上なんて言って断ればいいのだろう…? 思考がフリーズしていると、後ろからもう片方の腕を掴まれた。
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