ep6

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大きくて節ばった手の感触。明らかに女性のものではないとわかる。 「待たせてしまってごめんね。…それで、その子たちは?」 「由良さん!?」 確信もないのについそう口にしながら振り返ると、そこには本当に由良さんがいた。 「ええっ、お兄さんもめっちゃイケメン!!…じゃなくて、私彼の袖にお茶溢しちゃって、弁償しようかなって!」 「そうそう!それでそのブランドそこに入ってるじゃん?だから、良かったらお兄さんも一緒にいきません?」 状況をどう説明しようか考えているうちに、話がどんどん進んでいく。 ふと、フリーズしている俺の、由良さんに掴まれていない方の手の拘束が解かれた。 その隙に由良さんの方へ引き込まれたかと思うと、彼は俺の肩を抱き寄せ、悪戯っぽく2人に笑いかける。 「ごめん、彼は今から僕と大切な用事があるから。」 言いながら、由良さんの指は俺のうなじを緩く擦る。その微かな刺激が伝播し、身体中が震えた。 「ね、行こっ!!」 「えっ、なんで?」 「いいから!!」 何かを察したように、片方の女子がもう1人の腕を掴んで、そそくさと立ち去って行く。 …やばい、腰、砕けそう…。 酷くドキドキして、周りのことを気にする余裕が無くなり、身体から自然と力が抜け、足元がよろけた。 「…んっ… 」 さらによろけた瞬間腰に手を添えられて、思わず変な声が漏れてしまう。 「ここじゃ落ち着かないね。入ろうか。」 由良さんはゆったりと微笑んで、俺と繋いでいる手を離すと、そのままカフェのあるビルの中に入って行った。
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