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ep2
「あらー幹斗ちゃん。久しぶりじゃない。元気にしてた?」
カラカラと音のするドアを開けると、夕方のようにぼんやり明るいと店内が覗く。
その中で桃色のドリンクをかき混ぜていたママは、俺を優しい笑顔で出迎えてくれた。
表向きにはカジュアルバーであるここは、実はゲイセクシャル用のDom/Subクラブ。パートナーのいない第2性保有者が夜、出会いや一夜限りの関係を求めて集まる場所だ。
俺は月に一度ここにきて、誰かにプレイをしてもらっている。そうしないと身体に不調をきたすからだ。
「うん、元気にしてました。ママは相変わらず綺麗ですね。」
「あらーありがとう。幹斗ちゃんみたいなイケメンに言われると嬉しいわぁー。」
「...ありがとうございます。」
ママが“はいこれ”、とSubの印である赤いリストバンドを渡してくれる。それをつけ、階段を上がると、俺は相手を探すための部屋の前に立った。
重いドアを開けると、部屋の中は薄暗い。誰もいないステージを照らすミラーボールによる色とりどりの光が唯一の道標となるその場所には、10人ほどの男性がいた。
ふと、俺の肩を誰かが掴む。
「君イケメンだね。それでSub?えっろ…。俺とどう??」
振り返った先には筋肉質な、なんというか強そうな男が立っていた。
「Stripと恥を煽るものはNG。苦痛についてはいくら与えてもらっても大丈夫。」
「…えー、羞恥なし?…まあいっか。それでもヨくしてやるよ。」
男は自信たっぷりに笑う。
「お願いします。」
俺が軽く頭を下げると、男は俺の肩を抱き、個室へと俺を連れ込んだ。
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