ep4

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彼に手を引かれ、誘導されるままに足を動かす。 自分でももうなにが起こっているのかがよく分からなくて、ただ1つだけ、彼に調教(プレイ)して欲しいという思いだけが脳を侵食していった。 「少し散らかっているけど。」 がちゃり、と彼がドアを開けた音で急に頭が冴え、今の状況を理解する。 「えっ…、あの俺… すみません…」 …本当に何をしてるんだ。まず同性にプレイしてくださいとせがまれたら引く。しかも初対面で、ただちょっと偶然助けただけの相手に。 「いいよ気にしないで。少し休んでいきなさい。」 「…お言葉に甘えて…。」 玄関先で謝ったが、彼はただ微笑んで許してくれた。 いざ冷静になって顔を見てみると彼はおそらく俺より7、8歳は上の大人の男だ。切れ長の目が少し冷たい印象を与えるものの、微笑めばその瞳は柔らかに細められ、今度は驚くほど優しく映る。 どこか儚げで危ない雰囲気と端正な顔立ち。 美しすぎて人間離れしているという印象すら受ける。 案内されたのは暖色の光に満ちたリビングで、俺はダークブラウンのソファに座るよう勧められた。 「すこし待っていてね。」 彼は俺を座らせると違う部屋に行ってしまった。 なにをすることもできない俺は、部屋の中を見渡す。 色、メーカーの統一された家具が非常に綺麗に配置されているモデルルームのような部屋に感動していると、どこからか芳醇な香りが漂ってきた。 「ミルクと砂糖は好みで入れてね。…あ、紅茶の方が良かったかな?」 彼はお盆を持って、机を挟んで向かいのソファに座った。 お盆に乗せられたマグカップのうち1つが差し出される。 …コーヒーまで入れてくれるなんて、この人優しすぎないか?それもいつも飲んでいる眠気覚ましのインスタントコーヒーとは全く香りが違うやつ。 「…ありがとうございます。いただきまっ…んっ…」 俺はそれを受け取りぐいっと一気に飲み干そうとしたが、そのコーヒーは想像以上に苦かった。 「あはは、ミルクと砂糖も使ってね。」 優しく言われ、恥ずかしさに固まってしまう。 そのまましばらく沈黙が流れた。
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