#11 お坊ちゃまは沖縄へ避難する

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#11 お坊ちゃまは沖縄へ避難する

会話が一段落した所で、杏がとんでも無い事を言いだした。 「公平、久しぶりに風呂へ一緒に入るか」 「良いよ」 「駄目よ! 公平はもう14歳なんだから、男女は別々って事を少しは考えなさいよね」 「わかった、でもメイドは良く一緒に入るけど?」 「意味が違うの!」 「梓、無理だって」 杏が言うと、梓はしょうが無なという顔をする。 「公平、お風呂は一人で入る事良いわね」 「分かったよ、梓」 杏は少し悔しそうな顔をしている。 「今日のチーズケーキ美味しいね」 公平が感想を言うと、本当に解ってるのか心配になる梓だった。 沖縄避難当日。 「では、私は先に発ちますので、公平様や皆様の見送りお願いします」 「かしこまりました、いってらっしゃいませ」 メイド達は仁に頭を下げ見送る。 仁は、早い時間に空港へと向ったのだった。 機内では、今日は何が出来るかを考えながら過ごしていた。 その頃、公平は無意識に杏の胸を揉みながら熟睡中であった。 「ふぁー よく寝たな」 目が覚めた杏は、隣りにいる公平を見て、昨夜を思い出す。 「ん?・・・そうか夜寒くて公平の部屋に来たんだっけか」 「公平~ 起きろ」 「公平~」 「今起きないと新年大変な事に成るぞ」 「杏、起きるよ」 公平は杏に乱暴な扱いをされて、仕方がなく起きる決意を決めたのであった。 「準備して下に来るんだぞ、私も準備してくるから」 「分かった」 「杏」 「何だ?」   「ブラジャー忘れてる」 「おお危ない危ない、梓に見つかるとまた煩い事言われるからな」 準備の出来た公平は下へ降りて行った、既に結衣と聡美はコーヒーで寛いでいる。 「公平、お早う」 「お早う、公平君」 「お早う」 「みんな揃ってるかな?」 「杏さん、お早う御座います」 「お早う御座います、梓君がまだです」 「今頃、クローゼットの服を全部出して、選んでる頃かな」 「これは沖縄には地味すぎるわよね、こっちは公平と一緒だと派手すぎるしな」 梓は何種類かのパターンを作れる形で衣装を選んだ、勿論クローゼットは空っぽだ。 「あっといけない、水着、水着」 水着を鞄に入れてから30分後、梓は公平の屋敷へやって来た。 「お早う」 『お早う』 「遅くなって御免ね」 「まだ出発まで30分有るから大丈夫」 「梓、出した服はちゃんと、クローゼットにしまってきたか?」 「帰ってきてからちゃんと、片付けるもん」 流石姉妹と思った、結衣と聡美だった。 メイドの一人が広間へ入って来た。 「公平様、お車の準備が出来ました」 「有難う」 「さぁ、沖縄へ行こうー」 杏が先陣を切って車へ向って行く。 「聡美あれ用意して来たか?」 「うん、念の為何個か用意はして来たよ」 「よし、上手く使うんだぞ」 「分かった」 結衣と聡美は顔を合わせ微笑んだのだった。 空港へ到着し、出発カウンターへ荷物を預けた後、ゲートをクリアし機内へ入っていく5人。 「私、窓側にするかな」 杏が先に席へ入って行く、続いて公平、梓の3人シート、通路を挟んで聡美と結衣が座った。 「結衣怖く成って来た」 「口に出すな、私も我慢してるんだぞ」 「寝よう」 公平と杏は安眠マスクを取り付けた。 「なんであの2人は、落ち着いて寝れるんだ?」 「僕にも分からないよ、ああ・・・動き出したよ」 羽田発ー那覇行きはスタンバイ完了である、管制塔からの許可が降り、進み出す。 時速を増していくと同時に、結衣と聡美の握った手に力が入って行く。 突然体がフワッとした、無事に離陸したのである。 「ふぅ、良かった」 結衣がホッとする、聡美はまだ俯いている。 「聡美、無事に飛んだぞ」 「良かったね」 安心そうな顔をする聡美。 公平と杏はすでに熟睡である、しかも公平が杏により掛かる形で、寝てるのである。 面白くない梓は自分の方へ公平を引き寄せるが、暫くすると杏の方へ行ってしまう。 公平の座る位置が少しずれたのか、今度は杏の胸の上で公平の頭は止まる。 イライラしてくる梓。 「梓君」 「何よ?」 梓は完全に不機嫌である。 「これから僕達、おやつにしようと思うんだけど、梓君も一緒にどうだろう?」 聡美は用意していたコンビニで新発売したばかりの、とろけて美味しいロールケーキを出した。 「ああ、それ新発売のでしょ、食べてみたかったんだ」 無事に食いついてきた。 「色々な味を用意したんだけど、公平君と杏さんは寝てるみたいだし、2人の分も3人で分けて食べちゃおうね」 「そうね、バニラは勿論、イチゴやカフェオレ味も美味しそうよね」 梓は完全にロールケーキに気が向いたようだ。 結衣と聡美は一安心した。 到着空港の出口ロビーでは、仁が出迎えてくれた。 「皆様、お待ちしておりました、お疲れかも知れませんが、昼食の予約をしてありますので向いましょう」 「分かった」 一行は仁の手配した車に乗り、町外れの海岸方面へ向った、綺麗な景色の中に1軒の沖縄料理専門店があった。 「さぁ、着きました」 中へ入ると、奥の座敷へ案内された、一通りのコースなのか、仁が頼んでおいたのか分からないが、次から次へと沖縄の美味しい料理が出て来る。 5人はその美味しさに囚われ無言で箸を進めた。 「仁さん、美味しかったわ」 「それは、よろしゅう御座いました」 「仁、今日はもうホテルに帰る?」 「もし宜しければ、ホテルの少し手前で降りて、商店街を抜けて行こうかと考えてますが」 「良いよ」 仁の提案で一行は国際通りを楽しんで帰る事と成った。 国際通りは、色々と珍しいもの、美味しいものが売っている場所である。 「うわっ、何これ?」 「それはハブの入ったお酒、ハブ酒ですな」 「あの吊るしてるのもハブ?」 「ああ、あれはウミヘビですな、精力増強によろしゅうそうですよ」 結衣と聡美に、仁は説明をする。 「すいません、この1匹下さい」 「お嬢ちゃん、粉にしたのも有るけど」 「では、それを」 「聡美、梓はあれを公平に使うのか?」 「将来じゃないかな? あくまでも将来的に・・・」 少しご機嫌な梓が、結衣と聡美の横を通り過ぎて行った。 午後15:00チェックインした。 早速公平は昼寝である、他のメンバーは仁の提案で船に乗る事にした、船底が透明で海の中が見えるように成っているのだ。 「綺麗な海だね」 聡美が感心すると結衣が 「2度と見る事が出来ないかも知れなからな、しっかり脳裏に焼き付けとくんだぞ」 結衣と聡美は沖縄の旅を真剣に楽しんでいるようだ。 船を降り数カ所観光地を案内して貰い、ホテルへ戻ったのは夕食時だった。
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