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#4 お坊ちゃまの家出
聡美が笑顔で公平に話し掛ける。
「公平君、おやつも食べたし、僕の部屋で遊ぼうか」
「良いよ」
2人で二階へ向かう中、結衣は気にも止めず独り寛ぎ続けるのだった。
「さぁ入って、もうゲームは立ち上げてあるから、まずは公平君の腕を見せて欲しいな」
「聡美、難易度は中で良い?」
「うん、良いよ好きな様にやってみて」
本気で取り組む公平の画面を真剣に見つめる聡美。
「なるほど、なるほど、大丈夫十分上手い方だと思うな」
「でも難易度上げると、一気に勝てなく成るんだ」
「それはねぇ、ちょっと銃の持ち方を変えてみようか良いかい?」
「うん」
「左手はそこで無く、こっちの爆弾使える方に添えて、そうそう」
「これだけで良いの?」
「後はコツを教えるね、良い始めるよ」
「聡美」
「何かな?」
「胸が当たってる」
「あ、ごめん不愉快な思いさせちゃったかな?」
「嫌、聡美が平気なら良い」
「すこし恥ずかしいけど、一緒に好きなゲームで遊べるためなら大丈夫だよ」
「分かった」
「まず足を先に狙うのね、そしてこうやって背中から撃てば一撃で倒せるし、弾の補充が苦しい難易度の難しいでもかなり進めるよ」
「成程」
「今度はさ、2人協力プレイで難易度を最高でやってみようよ」
「うん」
「はぁー、結構きつかったね、公平君大丈夫かな?」
「大丈夫、初めてのエリアの景色見たけど良かったね」
「そうだね、僕も初めて見たよ」
「聡美ありがとう」
「そんな、ただゲームを教えてだけだからお礼なんていらないよ」
「聡美と結衣は、ずっとここで暮らすと良いよ」
「公平君、嬉しいけど良いのかい?」
「良い、またゲームやろう」
「うん分かったよ、有難う」
「公平君は優しいんだね、結衣も喜ぶよ」
そして本日のゲーム講習会は終了と成ったのであった。
公平は風呂に入るべく自室を出た。
「あ、聡美」
「やぁ公平君はお風呂かい?」
「そう、聡美は?」
「僕は、何か飲ませてもらおうと思ってね」
「好きなもの頼むと良い」
「うん、分かった」
「疲れたと思うから、ゆっくり肩をマッサージすると良いよ」
「有難う、聡美」
公平が、脱衣所の扉を開けた時だった。
「あ!」
風呂上がりの全裸な結衣が、驚き立っていた。
「ひぃ公平・・・何時まで見てるんだこの変態」
公平は2メートルは後ろへ飛んだであろう。
「ちょっと、公平君怪我無い? 大丈夫?」
「平気」
「あ、待って公平君」
自室へ逃げて行く公平。
「結衣やり過ぎだよ、殴って蹴り飛ばすなんてさ」
「ハァハァ、1発も当たらなかった、蹴りさえ自分で後ろに飛んで避けた」
「それでも、やり過ぎだよ」
「僕は公平君を見送ってたけど、この入浴の札、女性使用中に成ってなかったよ」
「あ! でも私は裸見られたのよ?」
「それで? 公平君が悪いと?」
「悪くは無いけど、驚くじゃない」
「仁」
「公平様どうされました?」
「これ」
「あ、公平さっきは・・・」
「あ~あ 公平君出て行っちゃったよ、仁さんその紙は?」
「家出すると書いてあります」
「家出~~~~!」
「困りましたなぁ」
「お夕食出来ますので、お集まり下さい」
「はーい」
「分かりました」
「これって」
「はい、本日のディナーです」
「フランスパンにジャム?」
「左様です、公平様が夕食を取られないかも知れない時に、私どもが食事を喉に通すことが、出来るでしょうか」
「結衣さっき遊んでた時、聡美と結衣はずっとここで暮らすと良いって、言ってくれたんだよ?」
「それを結衣は・・・」
「暫くしたら帰って来るんじゃないか?」
「その件なのですが、結衣様、聡美様、公平様をいち早くお戻りさせるために、明後日お会いして頂きたい方がいらっしゃいます」
「僕達にですか?」
「はい、区役所の福祉課の方です、それで2人と面談をして頂きます」
「それってもしかして」
「左様で御座います」
「どうする聡美」
「どうにかしてよ結衣」
「そうだな、まずは放課後何処へ家出をしたか確認して素直に謝るか」
「そうだね、僕もそれは必要だと思う」
「しかしだ、公平には梓が居る、良く梓の意見を聞いてるよな、今回も公平の落ち度が無いと分かれば何を言い出すか分からない」
「うん」
「そこで暫くは後を追い、梓が離れてチャンスが有れば、そこでも良いと思う」
「そうだね、今回は梓君には悪いけどチャンスは1日しか無いからね」
「良し、それで行こう」
翌日放課後!
「聡美行くぞ」
「うん見つからない様にね」
「でも、公平君は僕の胸があたってる時、大丈夫って言ってくれたんだけどなぁ」
「それは、小さいからだろう」
「傷つくなぁ、これでも僕は発展途上中なんだけど」
「あれ? この道って自宅方面だよね」
「なんだ結局1日経てば、帰ってくるんじゃないか」
「はぁ 良かったよ僕の努力が無駄にならなくて」
「んん?」
「変だね?」
「公平君の家は右」
「でも左の家に入った、梓と一緒に・・・」
「まさか」
「間違いないね、中川って書いてある、中川梓君の家だ」
「家出先がお向かいの、幼馴染の家かよー」
「私達も着替えて、梓の家に行くしか無いだろう」
「ただいまー」
「只今戻りました」
「仁さん、公平君の家出先が分かりました」
「そうですか、ではもし公平様に会われたら、今日のおやつはロールケーキ、旬の栗クリームとお伝えお願いします」
「はーい」
結衣と聡美は、それ所では無いのにと思いつつも返事をしていた。
「本当にここは、公平君の為に回ってる空間なんだね」
「聡美、感心してる場合じゃないぞ、早く梓の家に行くよ」
「どうも初めまして、梓さんのクラスメイトで飯田結衣と言います、僕は河原聡美です」
「お二人共可愛いですね」
「梓の部屋は階段上がって直ぐの扉ですから、お上がり下さい、ちょっとお昼寝してるかもしれませんが」
梓の母親が、娘の部屋を教えてくれる。
「お邪魔します」
「梓君、聡美だけど居るかな? 梓君?」
「は~い どうぞ」
「聡美いらっしゃい、あら結衣まで一緒ですか」
「ああ、公平にどうしても誤りたくてな」
「そう、公平はまだ寝てるわ」
「梓? パンツ1枚?」
「ん? 何時もこうだし、公平はね誰かが側に居るとぐっすり眠れるのよ」
「そ、そうなんだ」
「梓ちゃん、お友達にお飲み物をお持ちしたわ」
「ありがとうママ」
「お友達がいらっしゃった時位は、その格好辞めたほうが良いと思うわよ」
「はーい 今スカート履くわ」
「ははは、梓君は公平君なら良いんだね」
「そうね、小さい時からずっとだしね」
「それで、公平に話が有るんだけど」
「嫌だと言ったら?」
「梓君、そこをお願い出来ないかなぁ」
「何時でもそう、公平は何も悪くないのに理不尽に扱われてくる」
「そうだな、今回も私が悪いんだ、ただこのまま別れるにしても、公平にはしっかりと誤っておきたいんだ」
「はぁ分かったわ、公平起きて、公平」
「梓、よく寝れたよ」
「良かったわ」
「結衣と聡美?」
「公平昨日は済まなかった、ただ誤りたくて来た、それだけなんだ」
「公平君、梓君迷惑かけてごめんね」
「そうだ、仁さんから伝言で今日のおやつは、ロールケーキで旬の栗クリームだそうだ伝えたぞ」
「そう、分かった別にいらないかなぁ」
「それじゃぁ、帰るね」
「公平! 仁さんも心配なのよ、一度帰っておやつでも食べながらもっと話を聞いてあげたらどう?」
・・・梓が釣れるのかよと思った、結衣と聡美だった。
「ん?」
梓が不思議そうに、2人を見つめる。
「嫌、なんでも無いんだ」
「梓が言うなら帰ろうか、ロールケーキは梓の1番だもんね」
「さぁ 行きましょう?」
勇ましく先頭を歩く梓に付いて行く、公平と結衣・聡美だった。
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