血と死と愛の先に――

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 戦いで勝利したら宴会を開き、ワイワイするのが普通だった。けれど、サーシャは宴会から離れ、向こうにひっそりと佇む兵士の墓で黙とうをささげており、輪に混ざろうとしなかった。  彼は本当にそっけなかった。じろりと冷然と見つめた後はすぐにそっぽを向いてどこかに立ち去ってしまう。  誰とも群れず、ただ戦場で敵を機械の如く死に誘う。仲間内から孤立して行くのは、当然の帰結だった。あっという間に功績を立てていくのに、愛想がない。嫉妬と羨望に包まれ一人になった彼に構うのは、いつしかスロウスだけとなっていた。  「なあなあ、お前なんでそんな強いんだ?」  「サーシャぁ、お前クールすぎだぜぇ! これからバーベキューするけど来る?」  「沢山ぶっ殺してるとよぉ、なんか相手が肉の塊にしか見えなくなってくるんだけど、サーシャはどうなんだ」  などなど話しかけて撃沈する日々。確か、向こう一か月ほどは彼に完全無視を決め込まれることがほとんどだった。彼が話すことといえば、戦後の事務処理の時くらいか。もちろん堪えなかったといえば嘘になる。けれどこんな苛烈な環境だ、隣にいた奴が次の瞬間には首だけになるなんてざらにある。  だからこそ、一人一人との対話を大切にしていきたい。たとえ、表面上だけだとしても。スロウスはそういう信念を持っていた。  彼が初めて話しかけてくれたのは、何度目かの戦闘の時だった。
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