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「みんなよく聞け!俺のクラスはビーストサモナーだ!」
大声で叫び、エレナとドレッドにそう伝える。
「「ビーストサモナー!?」」
「だと!?」
「ですって?」
エレナと兄さんは戦っている最中だが、一瞬俺の方に振り向く。
2人は驚いているようだが、無理もない。
実際1番驚いているのは俺の方かもな。
魔法の世界とは無縁だと思っていた。せめて良いところ行って「ソードマン」とか「ソルジャー」とか、その辺りのクラスだと思っていたんだが………。
「カイル!だったらこれは絶好のチャンスよ!あんたがビーストを召喚して、ビーストテイマーであるあたしが、そのビーストを使役して戦わせれば!」
────俺も同じ事を考えてたぜエレナ!。
俺が召喚したビーストをエレナが使役させれば、ビーストテイマーのクラス効果により、ビースト達の能力も上昇する。
それに彼女のクラスでしか扱えない、ビースト専用のスキルも同時に駆使すれば。
上手くいけば勝てるかもしれない……あのババアに!。
「なるほどな!。弟と妹の連携プレイか!実に面白そうではないか!、盾役は任せておけ!、そしてすまない…剣さえあれば、俺も加戦出来たんだが………」
ドレッド兄さんも、この作戦に賛成のようだ。
問題は俺がビーストの召喚に成功するかどうかだが………。
やり方は理解している。
まずは召喚する対象をイメージする。
出来れば出会った事のある奴が良い。
その分イメージしやすいからな………。
だがあの魔女に勝てるビーストか……難しいな。出会った事のあるビーストで、魔女に対抗出来そうな強いビーストが、なかなか思い浮かばない。
それにどうしても俺は、それ程の強さを持つ存在を想像すると、勇者である彼の姿を想起してしまう。
あの勇者はシオンの父親で、名前は確か………クリスだ!
って、おいおい、クリスはビーストなんかじゃねえ、人間だ。
俺はビーストテイマーなんだから、ビーストを想像しないと。
んーー………。って事はあれか?勇者クリスみたいなビースト………。
……ってなんやねんそれ!
そう自分で自分にツッコミを入れた時、魔法陣が俺の手前に出現する。
これは召喚術士が使う魔法陣だ。クラスの解説書で読んだ事がある。
え?、てことは!?。
「おいおいおい!、勝手に次の手順に進まないでくれ!、まだ想像がしっかりと…」
慌てるも、魔法陣はどんどん大きくなっていく。
「何が起こっているんだ?。勘弁してくれよ……」
そして俺は此処まで来たら、もう戻れまいと、次の召喚手順に移行する事を決意した。
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