初めての魔獣召喚

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召喚術の最期の手順……それは召喚対象に問いかける事。 自分がその者の最も知っている点を挙げて、何を望み、何を成し遂げて欲しいのかをお願いする。 別に具体的に説明する必要はない。 そして出来るだけ短い文で済ませて、言葉の1つ1つに自分の意思を込めて発言していく。 「誇り高き、高潔なる獣の英雄よ、我が窮地を救う強き力となれ!魔獣召喚!」 召喚呪文の詠唱が完了し、魔法陣から強く眩しい光が放たれる。 そして周囲の風の動きが急に変わり始めると、それは強風となり俺を取り巻いた。 俺は咄嗟に目を瞑り、そのまま吹き飛ばされないよう、姿勢を低くして身構える。 「ううっく!………なんて風の強さだっ」 「一体………何が起きているのかしら……?」 「こいつは……すげえな」 エレナとドレッドは、周囲に起きた異変に驚き、戦いながらも空の様子を伺う。 だが1番驚いていたのは西の魔女だった。 「な!なななななんなんだい!この魔力の強さは!。おい!手負いの坊主!、一体おまえさんは何を召喚したって言うんだい!?」 ババアが本気でびびっている様子を見て、俺は思わずほくそ笑む。 やはり魔女だけあって魔力には敏感なようだ。恐らく桁外れの魔力を察知したのだろう。 強風と光は次第に弱まって行くと、俺は目をゆっくりと開き、自分が何を召喚してしまったのかを確認する。
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