チート級の魔獣を召喚したぜ。

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そいつは俺の目の前で、風を浴びながら佇んでいた。 魔獣なんだろうが、二本足で立ち、空を見上げている。 何を見ているのかと思って俺もふと空を見上げてしまう。 そこには焦った表情で呪文を詠唱している西の森のババアが居た。 てか空飛べたのかよ。 あんな所から狙い撃ちされたら、即全滅。 明らかに魔女は俺達と遊んでいただけで、本気は一切出していなかったらしい。 そしてもう一度目の前の魔獣を見る。 改めて見ると大きいな………。 それは人の身長の2倍はあり、俺の位置からだと、後ろ姿しか見えない為、顔は隠れているが、特徴的なのは長い爪だ。 毛色は全身藍色で、狼のような耳と尻尾をしており、筋肉のつき方が綺麗で、背後から見るシルエットが美しい。 「すげえ………まるでおとぎ話にでも出てくる、ウェアウルフ(人狼)みてえだ………」 感想をポツリと呟いた直後に、ババアが慌てて俺に向かって言う。 「おとぎ話も何も!そいつは紛れもなく人狼だよ!。全く!おまえさんはなんてものを地獄から呼び起こしたんだ!。おまえ達も、そいつのおやつになる前に逃げ出すことをお勧めするよ!」 敵の心配している場合かよ……。 それにおまえは……、俺達を食べたりなんか……。 (この……姿……恥ずかしい) 「え?、今誰か何か言った?」 脳内に直接語りかけられたような不思議な感覚。 そんな気もして、俺はエレナとドレッド兄さんを見るが、2人ともボケーッとした顔で何故か人狼の方をガン見している。 いや、ドレッド兄さんは鎧と兜で完全に顔隠れているから、わからねーけど、多分ぼーっとしている。 エレナに限っては、顔だけを人狼に向けたまま、無意識でガイコツを次々とぶった斬っていた。 2人とも、どうしたんだ?。 (私……ここ……目の前……) えっ?……ってことは、この声の主は。 人狼という事になる。 てか、人狼って話せるんだな………。 それに綺麗な女の子の声だ。 「ふむふむ……厳つい筋肉質な体格の割に、中身は少女って事なのか」 つい心の中で思った事を口に出してしまう。 (……私……やっぱり…少女……がいい?) 「あ!いえいえ!とんでもございません!。そのお姿、かっこよくて良いと思います!」 何故急に敬語……?。と自分で言った事を後悔する。 (そう……。なら……)
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