迷子のシオン

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人狼はエレナに迫っていた。 だが何故エレナの方へ?。 「おおおい!カイル!早く人狼を元の世界へ還してしてやるんだ!、婆さんの言った通り、エレナが、あの怪物のおやつになっちまうぞ!」 「あ!、ああ!」 そして俺は焦って召喚対象を元居た世界、厳密には、その種族が生まれた世界「楽園」と呼ばれているらしいのだが、そこへ転送する為、呪文を詠唱する。 「きゃーーー!あたしなんか食べても美味しくないわよーー!助けてーーー!」 「我の呼びかけに答え、その使命を成し遂げた者よ、汝の楽園で休み給え。リターン・サーバント」 人狼がエレナに触れようとした時、魔法陣が出現し、人狼の体を囲った。 そして人狼の身体が光出した時、彼女は俺に向かって何か言ったように聞こえた。 「カイ……まっ……」 そして人狼の姿は消えた。 「ん………今彼女は俺の名を……いや、気のせいか」 久しぶりの強敵だった。 少し疲れているのだろう。 それよりシオン探さないとなー。 それから西の魔女の縄張り一帯を何度も隈なく探索したが、シオンは見つからなかった。 そして気付けば時刻は既に真夜中を通り越して明け方に。 俺達は一旦シオン探しを中断して、街に戻り、休む事にした。 俺達が宿を取っている街は「ホワイトヘルム」という街で、雪原地帯にある街だが、商業が盛んで、人も多く、割と賑やかな街だ。 ここから森を抜けて、途中の村で馬車に乗ってから3時間程の距離だ。
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