俺Umeee棒、食いてえ

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そして朝の10時頃。 街には無事到着した。 馬車の中で少し寝て、ポーションを消費して身体の傷も回復したが、今度は腹が減った。 そんで俺は飯でも食いに商店街へ。 (しかし、店の種類も多いし、品揃えも良いな) そして商店街の中で一際目立つ、異質な装飾で施された店があった。 その店は、この世界の誰もが大好きで、誰もが知っていると言われている、老舗のスナック菓子「俺Umeee棒」専門店のようだ。 「寄ってらっしゃい見てらっしゃい!。みんな大好き、俺Umeee棒専門店だよ!」 「食べればあなたもチート持ち!食べてチート!噛んで無双!、さあ俺Umeeeから、今すぐ買って食ってみな!」 (Umeee棒のパッケージに刻印された、キャッチコピー読んでるだけじゃねーかよ………。売る気あんのかな、あの店員) 「新発売の「テンプレ乙味」と「盾の賢者で成り上がる味」も大変ご好評ですので是非是非!」 (まーた変な名前のフレーバー出しやがって。最近ろくなの出てないよな………ちなみに俺が1番オススメするのは「死に戻り味」だ。あの死に戻りするくらい辛くて美味いのがなんとも……) 「あー!、そこのお兄さん!、腹が減ってるなら、お1つどうだい?」 そう言われて、俺Umeee君の着ぐるみを着た売り子の人から、声をかけられる。 相手にする気はないと通り過ぎようとしたその時、俺Umeee君が握っている、俺Umeee棒を見て、思わず立ち止まってしまう。 「お………おい、その俺Umeee棒って、まさか」 「お客様は千里眼のチート持ちでしたか!」 幻の俺Umeee棒を見て、思わず手を出してしまった。 俺Umeee君は咄嗟に手を引っ込めて、再び商品の宣伝をし始める。 「そう、これはあの伝説のチートスナック菓子とも言われている、初代俺Umeee棒の「チート味」です!。チート並に美味い事では有名、数も少なく、需要は高くて入手困難!。食べて善し!転売して善しの優れもの!。まさにチート所有者が持つべきアイテムと言えます!」 「ちっ!。前置きは良い!いくらだ!」 「30万ローレンス」 「いくらレアものだからって話にならないな!、15万!」 「25万……これ以上は無理ですねー。チートなだけに、値段もチートなのは当たり前の話でしょう?」 「……っく!。昨日の魔女討伐の報酬を独り占めても足りねえ……だと?」 俺がそうして為す術なく、俺Umeee君の前で地面に跪いている所に、エレナが通りかかった。 「あらカイル。起きてたのね。傷の具合は大丈夫かしら?。無理そうだったら、シオン探しは、あたしとドレッドの2人で行く事にするけど?。サクサク」 エレナは、俺Umeee棒テンプレ乙味を堪能している最中だった。 「ああ、大丈夫だ。俺もいく!。それよりエレナ、その俺Umeee棒、どんな味するんだ?、個人的に、ほんのすこーーーーしだけ気になっていた所なんだが」 「んん?。一口食べてみる?。言葉では上手く言い表せないのよねー……」 そして俺は差し出されたそれに噛みつき、テンプレ乙味とやらを味わう。 「サクサク…サクサク……ゴクン!。んーー………。なんというか、どっかで食った事ある味だな?、この手のスナック菓子だと、よくありふれている味とでも言うべきか?」 「そう!そんな感じよ!」 「お褒めに預かり光栄です!。チート所有者のお二人さん!。それがテンプレ乙味の魅力なのです!」 「いや………褒めてねーし。どっかで食った事あるような、よく慣れ親しんだ味の何処が魅力なんだよ!。んなもん!ただのテンプレじゃねーか!……あ、テンプレ……テンプレ乙味……なるほどな」 ツッコミを入れておきながら勝手に納得した所で、今度はドレッド兄さんが通りかかった。
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