45人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
やっぱり誰もいない教室じゃないと謝れそうになくて、私は毎日放課後の教室に通うことにした。
でも『だいちゅう』は私を避けてるのか、その週はとうとう放課後に会えなかった。
私は仕方なく土日も学校に行って、日曜日の教室でやっと『エリザベス』を練習中の『だいちゅう』に出くわす。
『だいちゅう』は心底嫌そうな顔で私を見ると、尖った声で言った。
「また来たのかよ」
相変わらずの態度でやっぱりムカつくけど、私は怒ったらいけないと自分に言い聞かせた。
一応謝りに来たんだから、ケンカを売るのはまずい。
私は心の中で大きく深呼吸して怒りをやり過ごしてから、思い切って言った。
「この間はごめんね」
「……別に」
『だいちゅう』は私から逸らした視線を『エリザベス』に落とすと、落ち着きなく『エリザベス』を弄り始めた。
「……いい加減俺に付き纏うのやめろよ。すげえ鬱陶しい」
「だったら一曲弾いてよ。それで私の気が済むんだって言ってるじゃん」
「前にも言っただろ。やなんだよ。デリカシーねえな」
『だいちゅう』はあくまで頑なで、しかも口が悪かった。
何でここまで言われないといけないんだろう。
さっき謝ったばかりだけど、ちょっとキレそうになる。
「『エリザベス』弾いてって言ってるだけじゃん。何でデリカシーどうこう言われないといけない訳?」
「『エリザベス』、俺の彼女だから」
「へえ」
よっぽどヴァイオリンにハマッてるんだなあと思ってると、『だいちゅう』の目が一層冷たくなった。
最初のコメントを投稿しよう!