地下室にて

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男がペニスを口元に持って来ると、わたしは男の顔をチラリと見て口を開け咥えようとした瞬間... 「オットと、危ない危ない、さくらの考えは手に取るように分かったよ。 後ろ向け!」 わたしの決心が顔に出たのか... わたしの迂闊さを後悔しながら後ろを向いた。 男はわたしを広げて舌を入れ甘噛した。不覚にもこんな情けない状況で濡れてしまう自分に腹が立ったがどうにもならなかった。 そしてペニスの感触があり覚悟を決めた時、グキッと音がしたかと思うとすっーと男の気配が消えた。 わたしは何が起きたのか分からず恐る恐るゆっくり後ろを振り向くと立っていた... わたしの親愛なるサラサが。 しかも忍者のように黒ずくめで。 「ごめんね。お楽しみのところ邪魔して... でもサクラ...エロいわ。」 サラサが悪い顔をして片目をつむった。 わたしはサラサに飛びつき子供のように泣き叫んだ。 「遅いよ、怖かったよ、 もう...サラサったら!」 部屋の方からも泣き叫んでいるような声がした。 サラサを見つめると、 「あれはサララが泣いてる... あの人って...お母ちゃん...だよね。 ミヨさん、だよね。」 「そうだよ、絶対に間違いないと思う。 でも記憶をなくしている。 男がミヨさんって呼んでたからそうだと思うし... それにこの男が誘拐犯だよ。」 わたしは意識を失って倒れている男を横目で見た。 「でもさ、気になるんだけど...この男ってどっかで見た事ない? 会った気がするんだけど...」 サラサは男の顔を覗き込みながら言った。 「サラサもそう思う? わたしも何となくどっかで見た気がしてた。」 「ねえ、皆んな、お母様が起きたよ。」 サララがシャワールームに入って来て言った。 「起きたんじゃなくて、起こしたんだろ。 それにお母さんとか言っちゃダメだぞ。 今の彼女はわたし達と同い年くらいなんだから。」 サラサが微笑んだ。 「そうか! 忘れてた...し、もう言っちゃった。 お母様って。」 「しょうもない娘だなぁ」 サラサは苦笑いしながら言った。 「この人が犯人? どうしてこんな事を...」 サララが男の顔を見ながら言うと、突然サララの顔から見る見るうちに血の気が引いて行くのが分かった。 「どうしたの? サララ...どうした!」 「この人...この人... オジ様...長谷部のオジ様。」 サララは男に近寄り手を口に当てたまま茫然自失で座り込んでしまった。
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