実家

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テーブルに戻るとみんながわたしを見ているのが分かったのだけれど、特に何も聞かずにいてくれたので気が楽になった。 ところが、 「お客さん、つかぬことをお聞きしますが... 以前この店にお越し頂いたと思うんですが... ヒョッとしてうちの親戚筋にあたる方じゃないですかね?」 「わたしはバレた?! と思いながら... いえ、違うと思います...が どうしてでしょうか?」 わたしはドキドキしながらうつむき加減でそう答えると、 「いや~、何処かでお会いしたと思うんです。」 父親が尋ねた。 「...実はわたしもお聞きしたい事があるんですが...」 わたしは顔を上げて父を見ると、若い父ではなかった。 誰? この人誰なの? 何となく見た事あるような... 自問自答していると、 突然、店の扉が勢いよく開きドアベルが激しく鳴った。 「じゅんさん、てえへんだ! 娘さんが暴漢に遭ったみてえだ!」 「何だって!」 その人は店を駆け出して行った。 そして厨房から丸坊主の男の子も飛び出して来た。 わたしは彼を捕まえて聞いた。 「ねえ、あの人はここのご主人? 名前は何ていうの? それにあなたは...?」 「悠木純一。僕は息子。急ぐから!」 「あ~、チョット待って! ...待ちなさい!」 わたしは彼を... 父を追いかけて店を出たところで稲光がわたしを覆った... 気が付くと旅館の自販機の前でジュースの缶を握り締めていた。 サララ達が心配そうにわたしの顔を覗き込んでいた。 わたしは今起こった出来事を何度も反芻しながら実家の両親に真実を聞いてみるしかないと思った。 みんなに明日は直接 実家に帰る事を話した。
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