悠木美代

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学校からの帰り道だった。 美代は浅草寺の境内にいる鳩に餌をやるのが小さい頃からの日課だった。その日は課外授業で少し遅くなり夕日も落ち薄い闇が境内を包み始めていた。 餌やりを終え境内の脇道を通り一方通行の道に出た所で駐車していた車に引きずり込まれてしまった。 普段 人通りはあるのだが不思議とその時は誰も何も通っていなかった。 大きめのワンボックス車の後部座席は背もたれが倒してあり美代は力ずくで倒され首を締め上げられてしまった。 車窓は黒いカーテンが掛けてあり外からは見えなかった。 彼女が気を失うのにそれほど時間は掛からなかった。 辺りは闇が覆い静かな時が流れていた。 男は彼女の制服を脱がせ両手を縛ると、ふくよかな乳房をあらわにして細部まで観察しながら舐め始めた。 パンティーの中に手を入れて柔らかい陰毛を撫でながら指を割れ目に沿わせようとした瞬間、車窓を強く叩く音が闇に響いた。 「何やってんのよ! 警察呼んだわよ! 女の子連れ込んだでしょ! 出て来なさい!」 外で女性が大騒ぎし始めた。 男はたまらずズボンを履き直し車のドアを開けるとその女性に殴りかかった。しかしその女性は男の攻撃をスルリとかわすと右ストレートと回し蹴りでアッと言う間に男を倒していた。 「大丈夫?! 間に合って良かったよ! もう安心して...」 美代は上半身裸にさせられていたがその女性がすぐに取り繕い制服を整わせた。その時すでに美代は気が付いていて声を(こら)えて泣きじゃくっていた。 そのうちに遠くでサイレンが聞こえて来て車の周りにも人が集まり始めていた。その女性は男が気を失っているのを確認すると、 「こいつほんと悪い奴です。 車に連れ込んで女子高生にイタズラしようとしてたんです。 わたし急ぐので皆さん警察来るまで見張ってて下さいね。 お願いします。」 そう言うと女性はさっさと闇の中に消えて行った。暫くすると、父の純一と兄の純次が駆け付けて美代を保護した。 警察は助けた女性の事を調べた。 薄暗くよく確認できなかったが金髪に染めたようなショートカットにした20〜30代位の女性としか確認出来ず美代も初めて見る女性だった。金髪に染めている女性は当時珍しく目撃者を探したがとうとう見つける事は出来なかった。
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