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男は美代の手足を縛り猿轡の上からガムテープでぐるぐる巻きにした。
気を失った彼女を玄関に放置して部屋中を荒らした。
特に探し物はなかったが目に付いた現金と散らばった書籍の中で美代のアルバムを拾った。
裏口の路上に置いていた車まで美代を抱えて後部座席へ投げ入れた。
その間15分位だった。男は普段からこの細い一方通行の路上をあまり人が通らない事を知っていたし、道の入り口前に「工事中進入禁止」の偽看板を貼り出していた。
この方法は高校生の美代を襲った時にも使った。
どれほど経ったのだろう...
美代が気付くと手と足を縛られ体中が痛み動きもままならない状態で口には猿轡を噛まされていた。勿論ここが何処なのかどれほどの時間が経ったのか全く分からなかった。喉の乾きと身体の痛みと空腹感を強く感じたがいつの間にか、また気を失っていた。
美代は唇が濡れる感覚で目を覚ました。
「気付きましたか...?
良い寝顔でしたよ、悠木美代さん。
ああ、そう言えば名前は変わりましたね。
私の知らないうちに、しかもこっそりと...
認めませんよ...当たり前です。
だからあなたの名はあの時のままの悠木美代...
喉乾いたでしょう、それにお腹も空いてる。
分かってますよ。
食べ物は無理でしたが水は少しずつ差上げていました。
本当は猿轡を外してあげたいんですが...
如何です?
大人しくしてくれますか?
約束してくれたら、それ外しますけど...」
美代は遠くに聞こえる声の内容を理解してゆっくりと頷いた。
「やはり思ってた通りの人だ、物分りが良いしIQ190の天才だ。」
男は美代をゆっくりと抱き上げ猿轡を外した。
「ああ、身体も細くなりましたね。
お腹もペタンコになってるじゃないですか...」
男は美代のお腹を擦りながら言った。
「いや、やめて下さい。」
か細い声で美代は身体をクネラせながら言った。
「え? あなたご自分の状況が分かってないようですね。
あなたの命の灯は私の手の上で揺らいでるんですよ。
お教えしましょう、ここが何処でどれ程の時間が過ぎたのか。
私の気持ちが悲しまないようにお願いします。
いつでもあなたはここで朽ち果ててミイラになっちゃうんですよ。
どれほど美しく魅力的なミヨさんでも干からびて...
ああ、考えたくないんですよ...
あなたのそんな姿を...
だから私を悲しませないで欲しい。」
男は頭を抱えながらまるで舞台俳優のように大げさに話した。
それを見ながら美代はこの男に取り入るしか生きるすべはないと思った。
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