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出会い
わたしはお腹に違和感を感じていた。
ピリピリと電気が走るような感覚だった。
痛くはないのだけど今迄 感じた事のない奇妙な感覚。
どうしてここにいるのか思い出せないのだけれど3人の女性に何処かから連れ出された。
ひょっとしたら助け出された?
...かもしれない。
あの時はとにかく走った。
何処にいるのか? 何処に行くのか?
分からないままみんながわたしの手を引き走り続けた。
でもあの金髪の女性は見覚えがあったし、他の娘達も何となく同じ匂いがした。
そして気付くと...ひとり
雨に濡れながら凍えた身体を抱きしめながら歩いている。
辺りはもう薄暗くなり豊かな木々に囲まれたそれほど広くない緩やかな坂道の途中に一軒の店を見つけた。
近づくと出汁の香りが漂い、急激に強く空腹を感じた。
わたしはたまらずその店の前に立ち躊躇いつつも扉をゆっくり開けた。
それから見知らぬ地の、この店を手伝いながら生活を始めた。
名前すら忘れていたが、何となくミイと言う響きを覚えていた。
この店の人達は賑やかで優しかった。
わたしの事を根掘り葉掘り聞くでもなく...
と言うかわたしの記憶が殆ど無いのだから仕方のない事だが...
ただ漠然とこんな風景の雰囲気は懐かしさを覚えたけれど、賑わい出した店のお客との接客は嫌な事が増えて行った。
大きなお祭りなどの時は特に酷くて酔ったお客に身体を触られたり抱きつかれたりした。
すると何か過去のトラウマなのか酷い感触が蘇り、気持ち悪くなったり吐いたりもした。
でも店の人達に支えられて何とか1年が過ぎようとしていた。
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